(その2)バランス・スコアカード(BSC)を導入するメリット
★病院にバランス・スコアカード(BSC)を導入する
(その2)バランス・スコアカード(BSC)を導入するメリット
バランス・スコアカード(BSC)は、新たな業績評価システムとして1992年にハーバードビジネススクールのR.S.キャプラン教授とコンサルタント会社社長のD.P.ノートン氏によって発表されました。
バランス・スコアカードのバランスとは経営資源(ヒト・モノ・カネ)を自社の戦略に合わせて、「どこに」、「どのように」比重をかけていくのかというバランス(つり合い)のことであり、スコアカードとはまさしくプロ野球のホームランやヒットなどを記入するカードのことをいいます。つまりバランス・スコアカードとは、「企業の経営を(スコアカードに記入するように)わかりやすく見えるようにした仕組み」ということになるでしょう。(※バランスとはすべてにおいて均一という意味ではなく、比重をかける上でのバランスです。)
では、なぜバランス・スコアカード(BSC)がこれほどまでに注目されているのでしょうか。それは、このシステムがあとに述べる「4つの視点」をもとに組み立てられているからです。
「4つの視点から見る」、ということを例えるなら、あなたがスーパーマーケットでリンゴを買おうとした場合、陳列しているリンゴを正面から見ただけで買い物かごに入れることはないと思います。手に取って360度確認するのではないでしょうか。正面から見ると傷一つなくても、裏側に傷があるかもしれません。
バランス・スコアカードにおける4つの視点も同じことで、「財務の視点」、「顧客の視点」、「内部プロセスの視点」、「学習と成長の視点」というさまざまな視点から組み立てていくことにより、財務的な数値上の目標だけでなく、そこに進むまでの(非財務的な)プロセスや各目標間の関係が見え、業務遂行上の問題点や改善点がどこにあるのかも把握できるようになります。これにより現場レベルからの全員参加型の解決が行われやすくなるのです。
なお、4つの視点については次章以降で説明しますが、この方法により経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最大限に活かすことができるようになります。そしてこの視点を基準にさまざまな目標を設定していくこともができるのです。
ここまではバランス・スコアカード(BSC)がどのようなものなのかを中心に説明してきましたが、私はこの部分が一番大切だと思っています。なぜなら、BSCは職員全員が参加すること、そして職員全員が目標に向かって意識を共有していくこと。が最も大切だからです。
バランス・スコアカードって何なの?
どうして自社(病院)に導入しなければならないの?
職員がこのような疑問を抱いてしまうことは避けなければなりません。
BSCの基本を何度でも説明し、全職員が理解し納得した上で導入に取り組みましょう。
つづく